上士幌町自動運転バス「かみしほろアルマ」に乗りました!

いざ行かん上士幌町

十勝の中心・帯広市の北約40kmに位置する上士幌町(人口約4,900人)は、熱気球や北海道遺産旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群、ふるさと納税を活かした子育て支援などでも知られています。その上士幌町では、自動運転バスの定期運行が2022年12月から2023年2月までの予定で行われていましたが、3月以降も継続されることになったので、先日乗車させてもらいました。役場では公式な視察も受け入れていますが、思い立ったが吉日のように前日に行くことを決めたので、一般乗客として乗りながら少しお話を伺いました。

これがウワサの「かみしほろアルマ」
路線図とダイヤ

多機能な上士幌交通ターミナル

帯広駅バスターミナルから路線バスに乗って70分。「腹が…、減っ、た…」(番組が違いますね)
かつては、帯広から十勝三股(上士幌町役場からさらに北へ約40km)まで旧国鉄士幌線が走り、私の記憶では糠平(ぬかびら源泉郷)~十勝三股間は時刻表にバスのマークが付いていました。
さて、路線バスを降りたのは自動運転バスの起・終点でもある「上士幌交通ターミナル」(2018年4月オープン)。十勝バス・北海道拓殖バス上士幌線などの路線バスと都市間バスノースライナー号(旭川~帯広間)の三国峠経由便が停車するほか、町内の循環バスも停車します。
また、一般車両の駐車場や駐輪場、レンタサイクルに加え、24時間無人で貸出可能なカーシェアリングまでそろっている、まさに交通ターミナルです。施設内にはお手洗いはもちろん、Wifi、エアコン、授乳室も完備。乗車券等の販売窓口もあり、大きな窓越しに外を眺めながらバスを待つことも可能です。近隣には役場やクリニック、ふれあいプラザ(温泉あり・入浴料:おとな300円)などの公共施設があります。

上士幌交通ターミナルの全景

フランスからやってきた丸いやつ

路線バスを降りると、ちょうど後ろから自動運転バス(かみしほろアルマ)がやってきました。ちらりと除くとお2人乗られていましたが、乗客ではなくドライバーさんとBOLDLY社の保安員さん。ドライバーさんは、町内に拠点を置く上士幌タクシー(有)の乗務員。ドライバーと言っても、そもそも自動運転なのでハンドルやアクセルなどがあるわけではなく、テレビゲームのコントローラーのようなものがひとつと側面に設置されているモニターがあり、運行時刻の確認や比較的簡易な操作を行っていました。もちろん、右左折時などは他の車両や周囲の人の動きを確認されていました。

使用している車両はフランスのナビヤ社製。レベル3(※)対応の「ARMA」(アルマ)。1台約4千万円するそうで、システムを含めると5千万円くらいになるそうです。(高いと思うか、安いと思うかはあなた次第!?)
ドア(両開き)があるのは片側だけなのですが、前後にワイパーが付いていることからもどちらを前にしても進むことができるようになっています。(左側通行か右側通行かで前が決まる)個人的には、両運転台付のディーゼルカー(1両編成)みたいと思ったのですが、シャトルというらしいです。実証運行での定員は乗務員等を除いて8名、最高速度は20km/h。車内におしゃれな音楽を流しながら軽やかに走ります♪

 

(※)レベル3…一定の条件下で自動運転を行い、運転継続が困難になった場合にドライバーが介入。従って、運行にドライバーが不可欠。

前方(進行方向側)の眺め
後方(進行方向と反対側)の眺め

坂道も路肩の雪もノープロブレム

上士幌町の市街地はほぼ平坦なので坂らしいものは見当たりませんが、全4輪が駆動し(4WD)、登坂力も何ら問題ないとのことです。また、1回の充電で約100km走行でき(エアコン使用時は若干航続距離が短くなる)、上士幌町での運行形態の場合、ひと晩充電するだけで丸1日大丈夫とのこと。念のため、お昼休みも充電するとのことですが、1時間で10%近くバッテリーが回復するそうです。

乗車した日は雪解けも進み、路肩に硬い雪が残っている状態でしたが、全く問題なく走っていました。積雪時用のプログラムで運行されているとのことで、左折時は結構大回りして曲がります。(教習所でやると怒られるやつです・笑)ですので、雪がなくなる頃には夏用のプログラムに変更して運行するとのことでした。各停車位置ではピタッと止まります。(当たり前か…)クリニックなどの施設では玄関前に横づけです。ドアはボタン(手動)で開閉されていましたが、自動でも開閉できるのでしょう。

かみしほろクリニックの玄関前に停車

課題は白いあれ

乗車中にちょっとしたハプニングがありました。商店街を進んでいると、ゆっくりと追い越していく車と、左のわき道からバックで一瞬動きかけた車がありました。と思ったその瞬間、急制動。アルマはガクンと止まってしまいました。乗客にとっては不快な動きですが、正常な動作とのこと。原因は、ゆっくり追い抜いていった車に反応したとのことで、スーッと素早く追い抜いてくれた方が良いのだそうです。運行経路上では路上駐車もありませんでしたが、自動運転の普及には自動運転車両の特性などについての周囲の理解も必要ということをあらためて実感しました。
先程のとおり、雪山をよけて走れるし積雪状態も特に問題はないとのことでしたが、課題は「降雪」。センサーが降ってくる雪を障害物として感知してしまうのが原因です。センサーの過剰反応と言えばそうなのですが、センサーを鈍感にすると本当の障害物が現れたときに反応しなくなるということになりますので(何だか免疫応答みたいですけど)、強い降雪時には運休したこともあったとのことです。

筆者は人気ランキングでトップクラスの「道の駅 かみしほろ」で途中下車して一服。

LINEでお友だちになろう

そんな運休等の情報は、LINEでお友だちになっておくと配信されてくるとのこと。次に行けるのがいつになるかはわかりませんが、私もかみしろアルマさんとお友だちになりました。現在、運行日は月・木・土曜日の週3日です。機会があれば乗車してみてはいかがでしょうか。歩くよりちょっと速いくらいの速さで走っている区間が多いですが、まちなかをゆっくり見られて良いですよ。ラストワンマイルの足の確保にも期待が膨らみますね。

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