【参加報告】第24回地域バス交通活性化セミナー「持続可能なバス経営を考える」

札幌市で開催された「24回地域バス交通活性化セミナー『持続可能なバス経営を考える』」にオンラインで参加しましたので、新聞記事と全文採録の間くらいを目指して参加報告を記載しました。

【基調講演】地域交通の戦略的マネジメント-持続可能なバスサービスを共創する

今日のキーワードは共創=共に創るです。事業者同士、行政と事業者、異業種間の3つありますが、今日は「事業者間の共創」がポイントで、共創をどう創るかがメインテーマです。
今、公共交通に求められているのは、「かかりつけ医に行きたい」といった毎日行かないところへの小さな交通です。需要が薄く、移動サービスだけでペイするのは非常に難しいです。一方、最近の若者は移動手段に車以外の選択肢を求めます。親に送迎されていた学生も自分が子育てするときは「送迎しなくても良い地域に住みたい」といった意見を聞きます。
しかし、運輸業界も運転手だけでなく整備士などの職種でも不足しており、共助による移動サービスも疲弊しています。日本の交通事業は長い間「収益事業」で、内部補助により赤字路線を維持してきましたが、規制緩和により1本1本の系統単位で収支をみていくことになりました。

◆負のスパイラルを打破
仙台市は、市営バスの利用者が減少すると等しく減便することを続けてきましたが、サービスを1%削ると利用者が1.4%も減りました。負のスパイラルを打破する方法にはいろいろあります。例えば、バスマップのような利用案内は当面の策ですが、サービス低下に向き合う手法として、A社・B社が共に2割減便する場合、別々にカウントしていた2社の運行本数を合わせることであまり減らないように「見せる」という手もあります。公共交通を「リ・デザイン」するには、枝(本線)と葉(支線)の部分において2つの要素が重要です。1つは市民のみなさんに信頼されること。もう1つは移動先が楽しいこと。交通は派生需要ですから、目的となる場所が重要です。
ポストコロナの公共交通は、当面の利用者減少を前提としたサービス設計が必要です。コストについては、誰が負担するのかを再考した方が良いと思っています。例えば通学定期です。学校の統廃合により通学距離が伸びていますが、統廃合は教育委員会が決めることなので事業者負担のままなのは良くないと思っています。また、事業者間共創はデータに基づいて議論することが大事でDXも重要です。

◆地域公共交通関連法・独禁法特例法
交通政策は生活を支える、創る、地域の生き残りに重要なものです。2020年11月、地域公共交通関連法の改正により、従来の競争から共創に大きく舵を切りました。輸送資源の総動員は、使える手段を「使い倒す」ことが重要です。(あるものを使うのは当り前)また、令和7補助年度以降は、地域公共交通計画において、収支率の改善ではなく「収支」が指標となります。1番の論点は独禁法特例法と地域公共交通利便増進実施計画で、⾃家⽤有償旅客運送に関する制度変更なども事業者間共創の鍵となりえます。
地域公共交通利便増進法は、独禁法特例法との合わせ技や応用例で考えられますが、タクシーとの共同経営等もあるかもしれません。独禁法特例法に関わらずに調整した事例として、ホテルの送迎バスを住民に開放している湯沢町(新潟県)の事例があります。観光客と地域住民の輸送を合わせて白と緑ナンバーの垣根のぎりぎりを攻め、A社とB社の運行本数を束ねて減らしています。

◆八戸市の事例
八戸市(人口22万人)は、新幹線の停まる八戸駅から市中心部まで約6kmを2事業者が運行していますが、以前はダイヤ改正の度に先に待っている客を奪うようにダイヤが変更されていました。パッと見て15分に1本より、10本に1本の方が理便性が高いと思います。一般的に供給量が減ったら利用者は減りますが、この区間では減便により2社の運行間隔を平準化することで利用者が増えました。独禁法改正前のことですが、2社とも赤字事業者だったからできました。今までの八戸駅から中心部までの時刻表では、事業者ごとでのりばが分散し、運行間隔が10分を越えるものが3割弱ありました。
利用者が増えた以外の効果では、枝線の運行間隔がわかれば、バス停まで軽トラックを運転しバスに乗り換えることで「交通事故が減る」といったものもありました。バスで「高校に行ける」、「病院に行ける」といった認識の定着が重要です。もちろん、そこまでできないエリアもありますが、枝の交通はどちらかの利用者に合わせることで信頼関係ができます。
また、運賃は協議運賃の範囲内で、遠距離の上限を設け、近距離を上げ遠距離を下げました。高額の運賃を払ってくれる人口が減少したため、距離の長い路線は運賃収入が厳しくなったので運賃の配分を見直したということです。悪くても30分間隔ですと新たな利用者を発掘できます。単に運賃を下げれば良いわけではありません。
パターンダイヤの効果については、武蔵野市(東京都)のムーバスで運行間隔を20分から22分にして運行回数を42回から38回に減らしたことがありました。その結果、予想外に1便当たりの利用者も減ったため20分間隔に戻しました。特にパターンダイヤ、わかりやすいダイヤは売りになると思います。

◆共創は目的に非ず
事業者のサービスが重なりあう共創領域をいかにリッチにできるかがカギです。事業者間共創、行政と事業者間の共創ができていないと異業種間の共創はできません。

【先進地域取組紹介】前橋地域における乗合バス6社共同経営の概要

南雲 貞人 (前橋市未来創造部交通政策課地域交通推進室 副主幹)

 群馬県「前橋市」(人口約30万人)は、全国に60市ある中核市の中で自家用車の保有台数が多くバスの利用者数が低いため、自家用車があれば住みよい街と評されています。
 この事例は市役所が積極的にバス事業者を調整し、幹線となる「県庁前~前橋駅間」(約1km)(名称:本町ライン)を6事業者・11路線が重複運行していたため、運行形態を見直すことで利便性を向上させたものです。
 同市では公共交通の維持に毎年6億円を投入してきたものの今後維持が難しくなると判断。同区間を対象として、発車時刻の調整、事業者で異なる所要時間、停留所を統一したダイヤ改正を実施し、運行回数を減らさずに2020年4月から概ね15分間隔、JRへの接続も考慮された都心幹線バスになりました。
 このきっかけは、前橋駅から数珠つなぎに走る路線バス(「団子バス」)について「何とかならないか」という市民の声で、議会も後押しし1年かけてダイヤ調整が行われました。調整にあたっては同区間を走る平日10~16時の全便を一覧表にして、調整できない等の理由を示すよう各事業者に依頼するなどの作業が行われました。
従来の運行形態は「事業者側も非効率と思っていた」(南雲氏)そうで、市役所と事業者の信頼関係を構築していく上で、事業者間の意識変化も起きたといいます。ダイヤ調整にあたっては、土日祝日を調整する際に再調整があったものの、前橋市では6社のデータを取得し可視化できるようにしたことで、「今後の検討に活かしていきたい」としています。

長崎市域における共同経営について「持続可能なバス経営を考える」

長崎県交通局 乗合事業部 乗合課 計画班 係長 岩永 哲治
長崎自動車㈱ 自動車部 次長 江川 正樹

長崎市の事例は、長崎県交通局(以下、県営バス)と民間の長崎自動車(以下、長崎バス)の2社共創による取組みです。長崎バスと県営バスの利用者数は3:1の割合で、一部に2社競合区域があります。
 取組の背景には、長崎市の人口減少を上回るバス利用者の減少がありました。元々、長崎市のバス利用率は、山に囲まれた地形もあって20%を越えていましたが(全国平均7%)、今後15年後には人口が半減し、何もしなければバス利用者は60%減少すると予想され、「両事業者が数年後には路線バスを維持できないという危機感を共有しました。」(江川氏)
早急に手を打つべく共同経営の導入を検討し、2021年に長崎市長立会いの下、両者間で連携協定を結ぶことでフェーズが変わったことをアピールし、大きな反響があったといいます。具体的には、両社が運行している路線は、利用者の影響が少ない方へ事業者をどちらかひとつに一元化していくこととし、実務者間で乗降データを持ち寄って分析、必要便数を割り出すことでダイヤを策定していきました。住民への周知については、「市が利便増進実施計画、事業者が共同経営計画を説明するといったように、長崎市にも協力してもらうことで、特に混乱はありませんでした。」(岩永氏)
一方、新たに「まちなか周遊バス」や「快速バス」を設定することで利便性の向上に努め、減便による走行距離減という効果もありますが、全体的には赤字額を圧縮したものの厳しい状況が続いています。
今後の課題は運賃に関するものが多く、重複区間の最適化や路線のシンプル化となっています。

【座談会】

(敬称略)

進行:吉田 樹  (福島大学人文社会学群経済経営学類 准教授)
          南雲 貞人 (前橋市未来創造部交通政策課地域交通推進室 副主幹)
          江川 正樹 (長崎自動車株式会社自動車本部自動車部 次長)
          岩永 哲治 (長崎県交通局乗合事業部乗合課計画班 係長)
          札場 義章 (札幌市まちづくり政策局総合交通計画部 都市交通課長)
          熊崎    (北海道拓殖バス株式会社)

吉田:どんなことをやっていけば課題解決につながるか、その糸口になればと考えています。

〔座談会から加わったパネリストの自己紹介〕
札場:札幌市の人口は196万人で鉄軌道(JR、地下鉄・市電)とバスがありますが、バスの運転手不足に悩んでいます。市内で一律に減便する街もありますが、本市ではコロナ過前に1日約1万便から1割程減便してきました。バスの利用者は1日当たり28万人を継続しており、減便で利用者が減ったわけではありません。市営バスはなく市内完結路線は全て民営バスで、各社に知恵を絞って運行してもらっています。
デマンド交通を11月から手稲区に導入し、1日30人前後、40人超の日もあり好評を得ています。
今後もバスの減便は避けられないのため、多様な交通モードによる役割分担が必要と考えています。1月から法定協議会を立ち上げ、来秋地域公共交通計画を策定する予定です。
自家用車の利用が減ってきており、全く運転しない人が増えています。外出意欲は65歳以上で2割増えているものの18~64歳が減少傾向にあるので、今年度、外出機会を創出すべくバスが1日無料になる「ハッピー・バス・デー」を設定し、デジタル券(2万枚)、紙券(3千枚)を用しました。外出目的を創るために、抽選会場を6か所設けるとともに、バスでないと行きづらいカフェに特典を付けることもしています。既に2回実施し、SNSでエゴサーチしたところ数%が普段行けないところに行けたという投稿を見かけました。
また、MM(モビリティ・マネジメント)教育として「札幌らしい交通環境学習」を展開し、将来、子どもたちに公共交通で外出してもらいたいと考えています。

熊崎:代表取締役が来れなくなったため、急遽代打でまいりました。十勝地方にある会社で、岐阜県と同じ広さを持ち、人口が34万人で牛が45万頭います。運行エリアは、十勝の北西部を中心とした11路線で年間75万人の利用者がいます。減便を行っていませんが、路線によっては極限状態まで減っており、帯広市のバス分担率は2%程度です
当社の乗務員は79名で20歳の乗務員もおります。GTFS、バスロケーション(以下、バスロケ)の整備、オープンデータの公表を行っています。バスロケの導入により、今冬の大雪によるダイヤ乱れでは電話による問い合わせが大幅に減りました。
旅行者用の決済としてQRスキャンを導入しました。導入時4%で現在7%、車内だけで100万円以上のご利用があります。また、運賃箱の更新により乗降データを取得していますが、沿線自治体では経験則や短期間の調査を基にしているので、このデータを活かしたいと思っています。
十勝バスと共に使える来訪者用「visitとかちパス」は年間2,000枚程度の売れるなどの効果がありますが、人員不足については何か良い方法がないか模索しており、引き続き地域の足を確保していきたいと考えています。

吉田:バスロケの導入で電話が減ったのですね。
熊崎:若い人はバスロケを見れるので電話で問合せをしなくなり、高齢者の電話対応では、お客さんの前の道路が空いていても「その手前の混雑で遅れている」などの説明ができるようになりました。

吉田:前橋市の共同経営のきっかけは何だったのでしょうか?
南雲:地域公共交通網形成計画(以下、網計画)前に、市民から「団子状態でバスが駅から出てくるので何とかならないのか」という意見が大元の大元でした。網計画策定にあたってはパターンダイヤの作成を位置付け、独禁法特例法ができました。
吉田:網計画に位置付けにあたって、事業者から反対の懸念はありませんでしたか?
南雲:「確かにそうだよね」という事業者の認識で、特にはありませんでした。各論に課題はありましたが、総論で同じ方向を向いていました。
吉田:ここがポイントかなと思いますが、総論賛成・各論反対が多いので、そこにいきつくまで結構大変かなと思います。運賃プールは行っていますか?
南雲:運賃プールは行っていません。
吉田:長崎市の事例とは違って、前橋市役所が汗をかいていますが、人事異動も多いですし、事業者からなかなかビジネスパートナーと見てもらえないと思います。そのあたりはどうだったのでしょうか?
南雲:2年目で共同経営の話が出てきましたが、事業者に色々と迷惑かけていたかもしれません。
吉田:スモールスタート、オフピーク・スタートが良かったのでしょうか?
南雲:単純に全体像をつかみ切れていなかったのですが、一気に変えられなかったので、できるところから取組んだことが良かったと思っています。

吉田:前橋市の運行バス事業者の変遷は少し複雑で、自主路線と委託路線があって、元々大手私鉄系バス会社が撤退した後に地域会社が参入して撤退して今に至っています。
一方、長崎市の事例では事業者の入替えで共同経営をしたイメージですね。
岩永:片方の事業者を一元化した取組みですが、公共交通計画、共同経営計画(以下、経営計画)を2021年に一体的に取組んでいます。経営計画は2022年4月にスタートし、利便増進計画はその半年後にスタートしています。同年10月に市のコミュニティバスに変更し、事業者が受託する形で経営計画を変更申請することで整合性を図り、東部地区を県営バスで一元化しています。
吉田:沿線住民のために「まちなか周遊バス」を運行し、フィーダー系統を補助のタイミングに合わせて半年ずらした形ですが、変更はスムーズにいきましたか?
岩永:大変でした。
吉田:その辺りを今後直してもらえればいいですが、長崎電気軌道(以下、電気軌道)との関係はどうでしょうか?
江川:電気軌道は中心地・平地を運行し、我々は街中から外れた部分が多かったので、特に問題はありませんでしたし、電気軌道との関係は良好なので、今後もMaas等で一緒にやっていきたいと考えています。

〔パネリスト間での質問〕
札場:前橋市では、重複区間を平準化させたことにより、重複していない郊外部に何か弊害はありませんでしたか?
南雲:この部分は動かせないなど、郊外部にできるかぎり支障が無いように調整しました。
札場:長崎市のハブ&スポークでは2回バスに乗るということになるかと思いますが、乗継割引があったとしても値上げになるのではありませんか?
岩永:ICカードのポイントバックにより、バス1本と同等の運賃かむしろ安くなるように設定しました。
吉田:基本的に乗継いだ方が安くなるようにしているということですね。
岩永:支線についても商業施設などまでは運行するなど、できるだけ支線内で地域移動ができるようにし、中心部までの移動を乗換えるようにしています。

吉田:200~300mの移動が大変な人が増えていますので、乗継ぎしなくても生活が成立つようにする必要がありますね。航空機では仙台-福岡便の運賃が高いですが、伊丹空港乗継ぎですと安くて本数も増えますので、こういう考えは地域交通にも取り入れてよいかと思います。
前橋市は「本町ライン」としてブランディングすることで利用者が増えていますが、長崎市では何かありますでしょうか?
岩永:「まちなか周遊バス」以外では、特に名称はありません。
吉田:快速便で訴求力を出していますね。利便性の高いものを事業者間調整により訴求できています。
仙台市では、郊外部は毎時0・30分で中心部の時刻がバラバラ、もしくはその逆になることもあるので、どこに狙いを合わせるかも課題です。この4月から「八木山ライン」がパターンダイヤとなるので注視していますが、どこで誰に乗ってもらうかを明確にする必要があります。

熊崎:前橋市のICカードは6社共通でメリットがあると思いますが、ICカードの普及状況を教えてください。
南雲:現時点で全体の5割です。まだ割引率の高い磁気式のカードが残っており3月末まで使えます。4/1からICカードのみとなりますので、おそらく8~9割になると思います。
吉田:地元のICカードとスイカ・パスモではどちらが多いですか?
南雲:おそらくスイカ・パスモだと思います。

熊崎:当社のエリアは広いので、遠方の農村から快速便の要望があります。現状ではバス停があっても停まらない状態なので、「どれだけ効果があるんだろうね」と社内で話しています。
江川:片側1車線やバスベイなしの道路では、快速便が各停便を追い抜けないので効果はないでしょう。今回の快速便はバイパス経由となっています。
吉田:渋滞している区間ですか?
江川:そうです。
吉田:運行時間を短くしたいという労務的なことからの設定ですか?
江川:そうではありません。各停便と時刻表上7分しか変わりませんが、体感的に早いと感じました。
吉田:バスの分担率を増やす上での重要な取組みとして、ICカードやデータ取得について話題を変えていきます。前橋市ではICカードからのデータ取得により、事業者の意識の転換がありますか?
南雲:事業者には、ICカードのデータを取り込んで「どんなデータが欲しいか」を聞いています。ICカードのデータは便が特定できないので、手直しして活用ができないかと考えています。
吉田:東北や栃木県、群馬県は、地元のICカードとスイカの2n1カードがありますが、そのデータはタッチ時刻のみで、「きっとこの停留所、この便だろう」とまで推測はできますが、バスが遅れてきたりするとかわからなくなります。長崎市はどうでしょうか?
岩永:県営バスはニモカなので便ごとの情報はありません。ですが、便ごとの情報が欲しいので、泥臭く1件の明細ごとに便の特定をしました。長崎バスには便の情報が入っています。
吉田:独自カードでは情報を特定できますが、共通カードではできません。エクセルのデータで一覧できるように変えたことがありますが、帳票が多くなり加工する必要があると思いました。
長崎バスではICカードの共通化の予定はありますか?
江川:県営バスはニモカと交通系10カード、長崎バスはハウスカードで交通系10カードの片利用です。
カードの共通化だけで課題解決は難しいと思いますし、ICカードだけが解決手段ではないと思います。今後、色々な解決手段があると思っています。
吉田:QRコード決済はどうですか? 運賃箱データから採れると思いますが。
熊崎:いつ、どこで何号車から降りたかはわかりますが、どの便かがわかりません。1ヵ月分のデータ解析は手作業で1ヵ月かかりました。イベント時の利用では、翌朝にはそのデータがわかるので良いですが、活用はまだそこまでです。

吉田:使えるデータにするまでが大変かと思います。
南雲:日本版Maas推進事業をNTTデータと一緒にやっています。地図上に路線GTFSとICのデータも取り込んで、どこのバス停でどれだけ乗っているかを円で表記するように構築しています。乗った場所は推測でOD表を抽出し、それを使って来年度分析します。
吉田:積極的に可視化することで、バスネットワークの改善を行っていきたいというサービス提供者側の目論みが垣間見えますが、住民への利用も狙っていますか?
南雲:狙っています。いかに利用状況を可視化して説明できるかが鍵になりますので、わりやすいので活用したいと考えています。
吉田:長崎では何かモニタリングして、活用していますか?
江川:両地区の様子や「まちなか周遊バス」は随時見ています。西九州新幹線の開業で街中開発も進み、市役所の移転もあり、逐次まちづくりとの動きをみながら状況を見ています。
吉田:新幹線開業もあるから大事ですね。データではバスを降りて、どこへ行くかまでわかると良いと思います。
最後に一言ずつお願いします。

札場:乗降データについては、本市にはサピカがありますがバス事業者のもので市のものではなく、個人情報の観点から市が勝手に分析できません。デジタルではありませんが、手稲区では会員制で会員登録しているので、町内会に協力してもらって非会員にアンケートを実施し、なぜ利用しないのか、二次交通のニーズがあるのかないのかを聞いています。
市全体としては、来年秋の地域公共交通計画策定による持続可能な公共交通に向けて、大きな方向性を定めたいと考えています。
熊崎:まだまだやれることがあると感じました。江川次長の「退路を断つ」という決意が印象的でした。公共交通の維持が大変かを改めて実感しました。
南雲:長崎の事例は共同経営の手法で全然違ったので参考になりました。引き続き、バス事業者と飲みながら検討したいと思います。
岩永:いろいろな地域の課題を共有できました。解決策を持ち寄って、自分の地域で活かしていきたいと思います。
江川:北海道内に事例がないということでしたが、共創は共同経営だけではなく色々な形があると思います。熊本市は我々より先でしたし、JR九州と西鉄の事例もあります。あまり共同経営、共同経営とハードルを上げずに、やれることからやっていただければと思います。

吉田:今日はたまたま共同経営でしたが、これはひとつの方法です。事業者同士がタッグを組む、事業者と行政がタッグを組むという事例でした。共同経営は、「ここを直したい」と言ったことを解決していくひとつの手段となるかもしれません。地域公共交通計画として、小さなところから始めて大きく育てていくことや、課題はあるけれどICカードなどを使って解決していくことも考えられます。
四国ではJRとバスとの共同経営が行われています。バスと鉄道が並行している地域は、鉄道に集約してバスを他の地域に振り向けてはどうかといった意見がありましたが、鉄道だけでは足の確保が難しいこともあります。只見線の代替タクシーは雪による運休は年1日でしたが、災害から復旧した只見線は融雪の影響で今日も止まっています。

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