釧網本線 勝手に「湯めぐり」真冬編

「北海道に来るなら道東へ来い!」とは昔からよく言われますが、北海道らしい雄大さを感じられるのはやはり十勝や釧路、オホーツク方面でしょうか。釧路湿原やオホーツクの海岸線などを走る抜ける釧網本線(東釧路~網走間166.2 km)には、徒歩10分圏内に温泉のある駅がいくつもあります。かつて、廃止となった札沼線(学園都市線)の非電化区間(北海道医療大学~新十津川間)で「乗って!浸かって!札沼線」を企てた者としては、またしても“風呂鉄”を試みたくなったのでした。

とは言うものの、廃止となった札沼線同様、釧網本線も本線とは名ばかり。区間運転列車はあるものの、釧路~網走間を直通する列車は1日5往復。上り下りとも日中は約5時間近く運行間隔が空いているなど、「ほっこり駅近の湯」を1日で制覇するのはほぼ無理…。(途中からスタートして、朝風呂に入ればできるかも)

加えて荒れた天候の多い厳寒の2月中旬に、列車に乗ったり降りたり温泉に入ったり出たりなんて、これはもう修行というか、どちらかというと変人の所業です。とはいえ、流行りのサ活(サウナ)は苦手なので、乗ったり降りたり・入ったり出たりで整えました!?

快速しれとこ摩周号。快晴の浜小清水駅にて

【1湯目】斜里グリーン温泉(知床斜里駅)

「釧網本線 勝手に『湯めぐり』真冬編」のスタートは網走方から。荒天の影響により夕方から運転を再開した当日。網走18:54発釧路行の最終列車に乗車すること45分。「知床斜里駅」で下車。観光案内所と一体となったきれいな駅舎を出ると、けっこう風が強く一段と寒さが身に沁みてきます…。

セコマのある駅前交差点を渡り、海に向かって歩くこと約5分。右手に見えてくるのが「斜里グリーン温泉」。正しくは「ビジネスホテル斜里グリーン温泉」かも。昔ながらの温泉宿とひなびた感じのお風呂場が旅情をかきたてます。早速湯船に浸かってみるとお湯の色が黒い! そうモール温泉なのです。モール温泉はなかなか珍しく、モール温泉と言えば十勝川温泉を思い浮かべてしまいがちですが、こちらもなかなかのヌルヌル感でお肌しっとり♪

日帰り入浴客がポツりポツりと来られるものの、月曜日ということもあってか比較的空いておりました。できればこちらに宿泊したかった…。ですが、列車が運休した場合に備え、釧網本線沿線での宿泊を避けることにしたため、知床斜里21:19発の最終列車で網走に戻ることに。知床斜里駅前で「キツネいましたよー」とはしゃぐ観光客らしき女性に、「あー本当だ、あそこに座ってる!」などとその場の雰囲気を合わせてから…。(道民にはキツネは珍しくないので…)

営業時間・料金等

■住  所 斜里町港町7

■泉  質 ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉(低張性弱アルカリ高温泉)(旧泉質名:含食塩-重曹泉)

■料  金 おとな 490円 こども150円

■営業時間(日帰り) 6:00~8:00/10:00~23:00 ※要確認

■アクセス 知床斜里駅(斜里バスターミナル)から徒歩約5分

グリーン温泉の灯りもあたたかい
この日の網走行最終列車は「ルパン三世」。網走駅にて

【2湯目】パパスランド温泉(札弦駅)

翌朝、網走駅から「流氷物語1号」に乗車。後続の網走10:24発「快速 しれとこ摩周号」でも結果は同じなのですが、せっかくなの機会だったので…。(詳細は「熱いぞ!流氷物語号」にて)

札弦駅(11:32着)は、自動券売機で札幌発着の指定券を購入しようとすると、札幌より先(左側)に表示される駅だったりします。同地に本社を置く「札鶴ベニヤ(株)」も有名ですね。(2文字目は「鶴」)

さて、こじんまりした駅舎内には、「パパスランド温泉」が併設されている道の駅「パパスランドさっつる」までの道案内が置かれておりました。お仲間が多いのでしょうか、旅人はこういう案内に嬉しくなりますね。駅を出て直進、道道1115号を左折して歩くこと約7分。左手に道の駅「パパスランドさっつる」が見えてまいります。

札弦駅から道の駅までの案内地図と駅ノート

さて、ここで魔の運行空白時間帯に突入。Wifiがあることやレストランも併設されえいることは事前にチェックしていたものの、果たして5時間近くも居られるのか、不審者扱いされないか(笑)、少々気にしながらも丸テーブルでほっと一息。

ちょうどお昼に差し掛かっていたので、まずは「レストランパパス」にてシェフおすすめの「パパスランチ」をいただきました。こちらのメニューはハンバーグがメインなのですが、ザンギと長いもコロッケのどちらか一品を選ぶことができます。肉汁がジュルじゅるジュルゥ~と出てくる熱々のハンバーグを堪能させていただきました。水曜日が定休なんてことはつゆ知らず。1日ずれていたら危なく食事にありつけないところでした。

パパスランチ(ながいもコロッケをチョイス)

満腹のお腹が落ち着いたら温泉へ…と思ったのですが、それでもまだ13時過ぎ。パソコンはキャリーケースの中なので、引っ張り出すのも面倒…。とはいえ、また氷点下に駅まで戻ることを考えると、さっさと入った方が良いはずと温泉へ。あら、行けばゴロゴロできる大広間もあるではありませんか。もうこれは魔の運行空白時間帯を楽勝でクリアできるはず!?

平日の昼間にもかかわらず(自分もですけど)数名がご入浴中。無色透明なお湯は優しい肌触り。露天風呂にはどなたもいらっしゃらなかったので青空の下で雪見風呂♪ 露天風呂と内風呂を飽きるまで行ったり来たり…。もう整い過ぎです。大広間はガラガラだったので、おもいっきり横になることができました。

その後、お土産をじっくり選んでも次の列車までまだ1時間以上あったので、アリバイ作り(?)にノートパソコンを引っ張り出してちょっとお仕事。Wifiがあるっていいですねぇ。そういえば、なんでパパスランドって言うのでしょう~。由来を聞くのを忘れていました。

営業時間・料金等

■住  所 清里町字神威1071番地

■泉  質 アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性温泉)(旧泉質名:単純泉)

■料  金 おとな450円 こども(高校生以下)140円

■営業時間 10:00~21:00

■定 休 日  1/1、1/2 (不定休あり)

■アクセス 札弦駅から徒歩約7分

■備  考 足湯あり

■ホームページ https://papasland-satturu.com/onsen-2/

<昼 食>

■店  名 レストランパパス

営業時間 昼の部 11:00~14:00 / 夜の部 17:00~19:00(水曜定休)

     ※ラストオーダーは各部30分前

     ※曜日によって提供していないメニューあり

■ホームページ https://papasland-satturu.com/restaurant/

【3湯目】緑の湯(緑駅)

札弦駅に戻り、同駅16:25発の釧路行に乗車。車内はそこそこ座席が埋まっていたので、デッキにて前方を眺めることに。なんせ1駅で降りるものですから…。緑駅(16:34着)で下車。かつては終点となる列車(今は網走方面行の始発のみ)もあって、山中ながら列車交換設備のある駅です。
緑駅周辺は清里町の南端にある地域で先程の札弦駅周辺よりもさらに小さな地域ですが、スキー場の灯りが見えたりして歩き回れば何かありそうな予感。ですが、先程とはうってかわって次の列車は約1時間後。これを逃すと1湯逃すことになるので(まだ入るんかい)、早速次の湯を目指して歩きだしたらすぐ見えてきました。徒歩約3分。その名も「緑地域健康休養施設『緑の湯』」。

こちらは、ちょっとした物販コーナーもあって小学生の女の子たちが何やら買い物をしに来ていました。また、介護の必要な人と介助者が一緒に入れる予約制の「思いやり風呂」をはじめバリアフリー型の温泉施設となっています。こちらのお湯も「パパスランド温泉」と同じく無色透明。数名の先客がおられましたが、こじんまりとした露天風呂で日が長くなってきたなぁと思いながら、ほのかに赤く染まりかけた空を眺めておりました。
風呂上がりにペットボトルに入った清里町の水で水分補給。何気にパンフレットラックに置いてあったリーフレットを手に取ると、2駅手前の清里町駅にも「ほっこり駅近の湯」(きょさと温泉 ホテル緑清荘)があることを知ってリサーチ不足を痛感。(ということは清里町の各駅近くに温泉があるのね)
駅舎内に貼ってある「駅で長時間過ごされる方は、温泉の休憩室を無料開放中なのでどうぞ」という案内も嬉しいですね♪

営業時間・料金等

■住  所 清里町緑町26番地

■泉  質 ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(弱アルカリ性低張性高温泉)(旧泉質名:含芒硝・食塩泉)

■料  金 おとな(18歳以上)450円 こども(18歳未満)140円

■営業時間 10:00~21:00

■定 休 日  なし

■アクセス 緑駅から徒歩約3分

■ホームページ https://www.town.kiyosato.hokkaido.jp/kankou/onsen/midorinoyu.html

緑の湯の掲示物。鉄旅に優しい

【4湯目】藤花温泉ホテル(標茶駅)

最終の1本前の釧路行。日も落ちた緑駅を17:46に発車すると列車は峠にさしかかり、なかなか次の駅に着きませんが、その後有名な「川湯温泉駅」「摩周駅」を通り過ぎ標茶駅18:56に到着。今時期はSL「冬の湿原号」の起・終点駅でも知られていますが、かつては中標津や標津に向かう標津線の分岐点でもありました。
さて、先に夕飯を食べるか風呂に入るか、お店が早く閉まりそうな町ではついつい迷ってしまいますが、駅前にコンビニもあったので、やっぱり先に温泉へ…。駅を出て道道14号を右に曲がり歩くこと約3分。左手に大きな看板が見えてくるのが「藤花温泉ホテル」。現在改装中とのことでしたが、日帰り入浴も可能なのでいざ浴室へ。工事中なのか浴槽と洗い場がそれぞれふたつに分かれ、湯船の端にある踏み台?を渡って奥の洗い場に行くというやや不思議な構造でしたが、お湯は「斜里グリーン温泉」のような黒褐色のモール泉。熱すぎずぬるすぎない岩風呂風のお風呂で足を伸ばすことができました♪

道道沿いに立つ看板

続いての問題は夕食。そろそろ夜8時。ホテルの方に聞くと「居酒屋以外は閉まっているんじゃないかなぁ」とのこと。湯冷めしない程度に歩き回っていると(徘徊?)、「ラーメン」ののぼりを発見!!

まだやっているではないですか。閉店間際なのかなぁと思って恐る恐るドアを開けたら、実はお寿司屋さんでまだ営業中。(いいぞぉ「お食事処 寿ゞ屋」と心の中で叫ぶ)。ラーメンもあるのだとか。「塩ラーメン」と「おにぎり(おかか)」をいただいたのですが、しばれた夜に熱々のラーメンとご飯が染み渡り、身も心もあったまりましたー。

実は標茶駅から徒歩10分圏内にはもう1軒あったことは事前に調べがついていたのですが、さすがに次回に持ち越し。今夜の宿(ホテルパコ釧路)でも温泉が待っているのですから…。

※ホテルパコ釧路(釧路駅から徒歩約12分)も日帰り入浴可能です。(駅から徒歩10分圏内ではありませんが…)

特にチャーシューがうまかった。おにぎりは見てのとおりデカイです

営業時間・料金等

■住  所 標茶町旭2丁目8−23

■泉  質 アルカリ性単純温泉(旧泉質名:単純泉)

■料  金 おとな500円

■営業時間 14:00~21:00

■定 休 日 なし

■アクセス 標茶駅 徒歩3分

<夕 食>

■店  名 お食事処 寿ゞ屋

■住  所 標茶町富士2丁目6

■営業時間 17:00~21:00

■定 休 日 月曜日

■主なメニュー 寿司、ラーメンなどなど

■アクセス 標茶駅 徒歩3分

まとめ

今回は、「斜里グリーン温泉」「パパスランドさっつる」「緑の湯」「藤花温泉ホテル」の合計4湯。内、2湯はモール泉。

もう半日あればなぁ…といったところですが、出張の間に空いた1日ですし、列車が運休することもなかったので、良かったかと思います。

残る「ほっこり駅近の湯」は、清里町の「ホテル緑清荘」と標茶町の「富士温泉」の2湯。今度はいつ行けるかなぁー。  

今回の行程と宿泊先
巻き上げた雪が冬の厳しさを物語る。札弦駅にて

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