【参加報告】「都心エネルギーアクションプラン」キックオフフォーラム①

2/12(水)「都心エネルギーアクションプラン」キックオフフォーラム(主催:札幌市まちづくり政策局)が道新ホールで開催され、示唆に富んだ議論が行われました。

基調講演①『都心エネルギーアクションプランの目指すもの』

村木 美貴 氏
千葉大学大学院工学研究院地球環境科学専攻教授)

マスタープランとアクションプラン

札幌市はLEED for Cities のプラチナを受賞されました。これは、環境への配慮などまちづくりにおいて世界的に認められた証しですが、これを基軸にまちづくりに取り組んでいっていただければと思います。

私は、2013年から都心エネルギーマスタープラン(以下、マスタープラン)に携わり、都心エネルギーアクションプラン(以下、アクションプラン)の策定にも携わってきました。

都心ではエリアによる違いはあるものの、特区や地区計画等で900~1,050%くらいの容積率の建物の建て替えが可能となっていて、これから都心は大きく変わってくるという状況です。建て替える際には、できるだけ省エネに配慮した建物にすることと、地域でエネルギーをなるべく使わないような建物にしたいという考えがありますので、容積率を緩和して床面積を大きくしても、低炭素な建物が建つ都心を創りたいと考えています。マスタープランは20年間、アクションプランは10年間ですが、マスタープランの特徴は、①低炭素化 ②強靭 ③快適健康 な都心といった幅広いもので、分野を超えた様々な人々と連携して作ってきました。

このマスタープランを受けたアクションプランがキックオフになりますが、これには7つのプロジェクトがあります。また、2つの計画を使い都心の質の向上暮らしを豊かにしていくという基軸がありますが、これらがスマートシティやSDGsにつながっていくのだと思っていますし、その実現には、官民連携、市民との協働が必要で、世界でもスマートシティやSDGs、IoTの利活用が言われています。

私の専門分野である熱供給も官民連携が重要ですが、熱供給を公共(規制)でやるか民間でやるかにおいては、規模を拡大させるために規制でやっている国がたくさんあります。デンマークは特にこれが進んでいて、利潤を追求せず消費者を保護するということで進められていますが、イギリスはこの辺りが遅れていて、自由化を保護しながら低料金化しています。日本も規制をしながら安い料金でやっていてうまくいっていなのですが、SDGs、脱炭素を目指している都市はうまくいっています。民間・市民がwin-winでやっていける部分を強くしていく必要性があります。民間も市民も目指すところは明確ですが、公共は時代によって目指すものは変わってくるかと思います。

アクションプランはエネルギーのことだけではないので、街の価値の向上や世界への情報発信をどのようにしていけばいいのかについても関心があります。

札幌のQOLを高めたい

世界のスマートシティには中国の街が一番多く、発展途上国にもたくさんありますが、今日は3都市についてご紹介します。

・トロント市-グーグルがやっていて、温室効果ガスを削減し住宅の価格を下げてデータを管理。
信号や車線変更などのモビリティ制御の実施。
データを紙に書くなど、アナログな手法で人々に周知。
まちぐるみの省エネ、データの電子媒体での提供も実施。

・コロンバス市-規制市街地でのスマートシティ。
交通を基軸に様々な情報をネットワーク化。カーシェアリングや電気自動車で人々の暮らしをよくする取組み。
複合的な取組み+IoTの利活用を実施。

・ロンドン市-IoTの利活用を交通、環境、健康、住宅、文化、経済開発、都市計画と明確化。
従来は建物の規制で省エネ化、コジェネレーションでCO2削減、再エネの導入。

スマート化ではモニタリングを実施し、どれだけ下げたのかで評価をすることで、都市の価値を向上させています。

街の価値をどう評価するのか、世界のスマートシティは一体何を目指しているかについて、世界の5つのスマートシティを比較したところ目的がかなり異なっていましたので、スマートシティのゴールは何かについて国土交通省と議論した結果、「暮らしの価値の向上」だという結論に達しました。スマートシティの評価は居住と環境に特化した評価がなされていますが、札幌でも様々な生活指標を利活用して街を良くしようという取組みがなされています。将来的にはみんなでデータや成果をシェアし、分野間連携でQOL(生活の質)を向上していくことがデータの正しい使い方だろうと思っています。

スマートな都市になっていくには、少ない資源と少ない人的リソースを分野間連携、組織間連携によってQOLを向上させることで、win-winの構造が実現するものと思っています。

アクションプランの目指すものとは

低炭素・強靭・快適健康はQOLを上げていくことと関係しますが、スマートシティの目指す「小さな仕事で大きな成果」を合理的に都市づくりの中に入れていくことが大事だと考えています。
官民連携と市民連携とともにQOLを高めるためにみんなで考え、協力体制を構築していくことが重要で、それぞれが求めているものを理解していくことが、これからのまちづくりに重要なのだと思いますし、それが選ばれる北の都心になるのだと思います。

『札幌市の急速な人口成熟と都市戦略』

藻谷 浩介 氏
日本総合研究所調査部主席研究員、地域エコノミスト)

日本人の死因

2年前にブラックアウトしても暴力沙汰が起きない街は極めて珍しいのではないかと思っていました。
さて、人口減少、人口減少と言われても、札幌市は人口が減っていないので気にならないかもしれませんが、今日のタイトルに用いている言葉は「人口成熟」です。
ところで、日本人の死因をご存知でしょうか。1位 がん、2位 心疾患、3位 老衰で、女性は6人に1人が老衰です。昨年、私の104歳の祖母が老衰しましたが、70代の独身の叔母が面倒を見てくれたから何とかなりました。祖母は最後の6年間寝たきりでしたが、それまではピンピンしていました。世話をしてくれる人がいないと老衰できません。
あなたは老衰で死ぬことができると思いますか? 農村地帯では老衰できますが、タワーマンション等では老衰できません。一方、自殺は10位に後退しましたが、孤独死が3万人を超えたと言われ、今後も増えていくと思われます。

謎の生物「札幌ヤマネコ」

「0~4歳」人口は45年前に1,001万人だったのが、昨年は492万人でした。(昨年の出生数は80万人)人口が減っても経済成長さえすればいいというトンチンカンな人がいるので、人ではなく日本ヤマネコだと思って考えてみてください。45年前に1,000匹だった日本ヤマネコが今や492匹、これはもう滅亡に向かって一直線、絶滅危惧種なのは間違いないです。日本人は騒ぎにならないと問題だと思いませんが、本当の問題は静かに進行します。
札幌市の人口は「これから」減少するという人がいますが、もう減っているのも同然です。赤ちゃんの数が半分なのですから、もう人口減少が確定しているのです。札幌市は45年前「0~4歳」人口が11万5千人でした。そして45年間で人口が124万人から196万人と6割増えているのに、「0~4歳」人口は7万人と4割減少しました。札幌ヤマネコは謎の生き物で、親ネコがどんどん増えているのに子ネコが激減しています。これは相当おかしくて、札幌市の出生率は全国最低クラスです。
札幌市の「14歳以下」の人口は4,400人増えていますが、「15~64歳」人口は53,900人減っています。ところが「65歳以上」人口は83,200人(19%増)増え「75歳以上」人口21%増で、団塊の世代が75歳を超えていないのにこの状態です。このままでは120年で人がいなくなってしまいます。これが「人口成熟」なんです。札幌市の「15~64歳」人口が減っているのは65歳になってから札幌市に入ってくる人が多いからです。

首都圏は?

首都圏の人口は78万人増えていますが、札幌と同じく「15~64歳」人口は減っています。北海道の人は、東京だけは何とかなっているというような考えはもうやめましょう。首都圏も「75歳以上」人口しか増えていません。(25%増)東京で年寄りが増えていると若者をどんどん呼び寄せれば良いと言っているとんでもない人がいますが、その若者が後々年寄りになるだけということになぜ気が付かないのでしょうか。このようなことは日本人みんなが取り違えていて、「人数」が重要であって「率」は関係ないんです。
中国では「15~64歳」人口が大幅に減少していますが、「65歳以上」人口は5年間に4,098万人増えています。(31%増)中国の新型コロナウィルスの対策に「何をもたもたしているんだ」と思われるかもしれませんが、人手が足りないんです。総人口が14億人いるとはいえ人口が成熟しているんです。とにかく、みんなが言っている方向でしか問題を感知しないというのは非常にまずいことです。みんなが言っていなくても大事なことは大事なことなんです。

三笠市では

一方、人口減少中の三笠市(人口約9千人)は超高齢化していますが、「75歳以上」の人口はどうなっていると思いますか? 三笠市は札幌市の70年くらい先を行ってて、「75歳以上」の人口は3%減少しています。要するに人口がどんどん減って、年寄りのなり手がいないんです。高齢者が増えると、医療・福祉等のコストがかかる上に、水道などの使用量が少ないのでインフラの使用効率が落ちますから、ありとあらゆる面でコストがかかりますが、高齢者が減るということはチャンスなんです。三笠市の「0~4歳」人口は30人も増えています。(16%増)人口成熟が進むとこうなりますが、札幌市もあと70年待たずに打てる手を打つべきです。

東京の劣化コピー

子どもを持つ・持たないは、少し失礼な例えになりますがお酒と同じなんです。お酒を飲むのが好きな人もいれば、飲みたくない人もいます。人の子どもを見ているだけでも楽しいという人がいれば、3人でも4人でも子どもが欲しいという人もいます。そういった色々な考えを持つ人を平均すると、普通は子どもを2人持つようになるのですが、札幌市の出生率は1.14ですから子どもを持つためのQOLが低いんです。
とにかく日本人は、私が一度も使わない「高齢化率」や「人口減少」ばかりを気にしているのが問題です。人間ドックで言えば身長・体重だけ測るのと同じで、これだけ見ていても健康かどうかわかりませんから、「75歳以上」の人口なども視ていかないとどうにもなりません。札幌市は東京都の劣化コピーです。三笠市を成功例だとは言いませんが、年寄りが減って子どもが激増中ですし、下川町も子どもはほんとど減っていません。下川町はエネルギー政策で頑張っていて、エネルギー関連で浮いたお金を子育て支援に回しています。ニセコ町は子どもの数が一時増えた後で減っていますが、その代わりにすごい勢いで人がなだれ込んできています。また、下川町のように小さい町でやっていることを大きな町でやってはいけないという人がいますが、本当は大きい町でやった方が効率が高いんです。

コンパクトシティとスマートシティ

日本の良くないことは、マスメディアが地方の情報を何も持ってないことや3世4世の国会議員が地方のことを何も知らずに東京が一番優れていると思っていることです。札幌市は地方の良い事例を取り入れて取り組んでいけばいいですし、オリンピックのマラソンも来るし、都心のエネルギーも東京よりはるかに優れていますが、札幌市がガーンと取り組んでくれないと東京は目覚めません。
とにかく現実を見ることが必要で、「人口増減」、「高齢化率」は見ない、人口半減は確定済みですから、半減してもサスティナブルな街を創りましょう。そのためには、①「0~4歳」の人口減少を止める ②コンパクトな街を創って諸機能を高める ことです。コンパクトシティについては「郊外に住むな」と言っているのではなく、むしろ逆です。拠点・拠点の人口密度を高めて効率的にすることがコンパクト化で、住宅・工業・商業が高密度で新陳代謝があって維持され、新規開発を抑制し土地を使い捨てにしないようにすることがコンパクトシティです。間違っても農山村を潰して札幌市に人を集中させよということではありません。そんなことをすれば子どもが減ります。市が税収で運営する道路や上下水道をこれ以上伸ばさない、固定資産税収入を守る、自然を保全する、中心市街地の建物の減築をセットで行うことです。
夕張市は人口が最盛期の1/20になりましたが、コンパクト化に失敗して郊外に学校や病院などを造り、今の道知事が市長になるまで止められませんでした。旧炭住にポツンと残って暮らし、近くの新しい市営住宅に移っていない人がいました。なぜかというと、80歳を過ぎてから引っ越すと相当の確率でボケて動けなくなるので、高齢者をそう簡単に引っ越させるわけにはいかないからだそうでした。要するに、そのような年齢になる前に納得して引っ越ししてもらう必要があるということです。住んでいる人が幸せに老衰できる街がスマートシティだと思いますが、それに向けて札幌市の一番の課題はエネルギー構成率とエネルギーです。

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