熱いぞ「流氷物語号」

「流氷物語号」がゆく

釧路と網走を結び、湿原、平野、峠越え、海岸線…、北海道が凝縮されたような変化に富んだ釧網本線(全長166.2 km)。そのうち、網走~知床斜里間(37.3km)を結ぶ「流氷物語号」は、接岸したり沖に遠ざかったりと、きまぐれな流氷が訪れる冬季に30日間だけ運行する観光列車です。(今季の「流氷物語号」の運行は2/26で終了)
途中停車駅は、「北浜駅」と「浜小清水駅」の2駅。「北浜駅」には知床斜里行が、「浜小清水駅」には網走行がそれぞれ10分間停車するので、利用する列車によっては北浜駅にある展望台に上がったり、道の駅でちょっとしたお買い物を楽しむこともできます。
列車は、JR北海道の中でも最古参の部類に入るキハ40形の観光列車バージョン「北海道の恵み」による2両編成。今季から海側のボックス席を指定席としているほか、ロングシートの一部座席は荷物置き場となっています。

「流氷物語号」。左手「道東 森の恵み」、右手「道北 流氷の恵み」。網走駅にて
木目調の優しいテーブルを設置

なまらしばれるけど気持ちが熱い!

この日乗車したのは網走駅9:52発の「流氷物語1号」。後述の「MOTレール倶楽部」さんのSNSで、「ホームに流れるオリジナル曲『流氷物語号×オホーツクに消ゆ スペシャルMIX』を聞くべし」との情報を得ていたので、1番ホームに立って向かい側の2番ホームに列車が入線してくるのを眺めながらオリジナル曲に聞き入っておりました。

車内には道外からのバスツアー客も大勢いらっしゃったことと車窓の風景を楽しみたいこともあって、あえてデッキに立ってドアの窓から外を眺めることにしました。ちょうど向かいに居合わせた方がツアー客で、聞けば「北浜駅まで」とのこと。前日夕方まで運休していた釧網本線が運転再開し、天気も落ち着いてきたので安堵の様子。さらに伺うと、東京からいらっしゃったとのことで、「若い頃は冬道も運転できたが、歳を取ってからは冬の運転は怖いし乗り物の本数も少ないのでツアーに参加した」とのこと。マイカー・レンタカー以外の移動手段をしっかり確保しないと、北海道には観光客も移住者も来なくなるかもしれません…。

さて、車内には青い法被を着たボランティアスタッフさんが慌ただしく車内を行ったり来たりされています。住民団体「MOTレール倶楽部」と東京農大の学生さんらによる網走市観光ボランティアのみなさんで、工夫を凝らした観光案内や物販を行っています。「石北沿線のみなさまとともに峠を越えたい」に記載した「石北沿線ふるさとネットワーク」さんに続いて、こちらの活動にも本当に頭が下がります。
この日、流氷はがっちり接岸し、車内からはっきり見ることができましたが、車内放送によると「風向きひとつでわずか数時間のうちに見えなくなってしまうほど遠くに離れてしまう」とのこと。この日はラッキーデイだったようです。
ほぼデッキに立っていたのでフィリップボードは見ませんでしたが、オホーツク海の反対側に見える濤沸湖や沿線で見られる野鳥などについてフィリップボードを使って説明されていました。

車内で観光案内を行う網走市観光ボランティアのみなさん
配布されたパンフレットの内側。手作り感あふれるタッチが嬉しい

北浜駅にて

オホーツク海に一番近いことで有名な「北浜駅」。網走駅発の1・3号はこちらの駅で10分停車。私を含む大部分が一旦下車し、駅舎見物や展望台からの眺望を楽しんだり、列車のドア横に立てられた温度計(この時はマイナス7℃)と共に記念撮影したりと、思い思いの時を過ごされておりました。
余談ですが、私が初めて北浜駅を利用した時は駅員さんがいて、入場券を買うと大きな貝に手書きされた通行証をもらうことができました。現在は無人駅となり、駅事務室内を軽食&喫茶「停車場」として営業され、駅舎内には旅人が貼っていった定期券だの切符だのがびっしり。(私も以前貼ったような…)
なお、線路のすぐそばに流氷が接岸しているのが見えましたが、線路の横断は禁止されていますので何卒ご了承ください。

趣のある駅舎がそのまま残っている北浜駅
「北浜駅」のホームや展望台に繰り出す乗客たち

浜小清水駅で下車

さて、列車は次の停車駅「浜小清水駅」に停車。この駅も見ておきたかったのですが停車時間はごくわずか。この日は釧路まで行かなければならなかったので下車することに。走りゆく「流氷物語号」を見送り、線路を渡って道の駅「(はなやか(葉菜野花)小清水)」へ。(知床斜里駅発の2・4号は10分間停車)
道の駅と鉄道駅が一体となっている施設は、面積広し道の駅多しの北海道の中でもここだけ。(稚内駅も道の駅とほぼ一体なのですが、厳密にいうとシームレスに隣接している)施設内には、お土産品や地元の農産物などが売られ、最近話題の「なんじゃこりゃスティック」等を提供している飲食コーナーや、「モンベル オホーツク小清水店」が併設されるとともに、ラーメン屋さんなども隣接しています。
列車の本数が少ない釧網本線は、上り下りとも日中5時間近く運行間隔が空いている時間帯がありますが、網走~藻琴~浜小清水間は網走バス、網走~藻琴間は網走観光交通の路線バスも平行して運行していますので、途中下車したい場合はバス利用で補完することもありかもしれませんね。
この後、後続の列車(1両編成)で釧路方面へと向かいましたが、知床斜里駅では流氷物語号からの乗り換えや知床斜里からのお客さんでなかなかの混雑ぶり。中には、網走行と勘違いして乗ってくる外国人観光客もいて、コロナ渦前に戻りつつあるのかなと思った次第です。

浜小清水駅のホーム。めんこいシマエナガがおでむかえ
流氷びっしりな海岸線。「浜小清水駅」のホームから徒歩1分。

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