【参加報告】「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2019」① 1日目

オープニング

今年で8回目となる「くらしの足をみんなで考える全国フォーラム」東洋大学(東京都文京区)にて10/26~27の2日間、開催されました。「このフォーラムでは今まで「型」を創ってきましたが、今年のテーマは「殻を破る」です。ポスターセッションをはじめ、装いを新たにしてライブ感満載です。」と岡村実行委員長の明るい挨拶でスタート。
今年の副題は、「本音で語り合おう、知り合おう、そしてこれまでの殻を破ろう!」なんです。

※資料は後日、主催者HPに掲載予定
※グラフィック レコーディング by合同会社おでかけカンパニー

今年も元気よくスタート!

【1日目】「くらしの足からMaaSを捉えなおす」

登壇者:細谷 精一氏(前橋市役所政策部交通政策課 課長)
黒澤 隆由氏(株式会社ディー・エヌ・エー、オートモーティブ事業本部プロダクトマネジメント部 部長)
コーディネーター:伊藤 昌毅(東京大学特任講師)

伊藤 昌毅氏(東京大学特任講師)

MaaSは、国交省的には「移動、プライシング、他サービスとの連携」と欲張りなものです。旅行計画と料金収受ができるアプリで、サブスクリプション(定額制)によって、車に代わる移動手段を提供しようとするものです。「すべての交通サービスはポケットの中にある」という異次元感覚です。
(例:フィンランドのwhim、伊豆のizuko 、小田急のEMot
バラバラな公共交通を連携させることで、自動車から公共交通に転換させれば車が減り、駐車場が減ると空間利用率が向上しますので、インパクト大です。また、新分野との融合も考えられ、前橋市はMaaSのエリート、(株)ディー・エヌ・エーのタクシーアプリ・Mov は、使ってみると病みつきになる感じさえするものです。

コーディネーターの伊藤氏

細谷 精一氏(前橋市役所 政策部 交通政策課 課長)

MaaSエリートは裏を返すと公共交通問題児でもありますが、地方都市こそMaaSが必要と考えています。前橋市は、公共交通による移動手段分担率が3.5%しかありません。(自家用車は75%)高齢者の外出率が減少し、送迎の負担が増していることから(高齢者の移動先:1位 病院 2位 買物)、タクシー運賃の1/2を補助するなど、複数の支援策で免許返納を推進しているところです。
公共交通網形成計画では、公共交通を①広域 ②地域内 ③都心 に再編するというものですが、その結果、路線を切ることになったので、これらをつなぐことが必要となりました。特に、高齢者はバス停までの300mを歩けないので、ラストワンマイルにタクシーを活用するなどの施策を展開しようとしています。
前橋市のMaaSは、国交省、経産省の両省から採択された全国のモデル都市4か所のうちのひとつとなっています。(他の3都市は、日立市、静岡市、大津市)地域や民間の自主的取組みとして、デイサービス等で日中空いている車両の活用や、社会福祉協議会による買い物相乗りタクシーなどを複合的に行うことで、車社会からの転換を狙っています。

[会場からのQ&A]Slido  を活用)
Q:公共交通を充実させるよりも、乱立しているバス事業者の統合が先ではないでしょうか?
A:前橋にはそこそこ公共交通がありますので、ラストワンマイルはタクシーできめ細かくしつつ、バスを活性化させたいと考えています。また、考え方の異なる6事業者とは、運賃配分・精算の方法等について話し合いを進めています。

実証実験のひとつ「ワンマイルタクシー」

重要!

黒澤 隆由氏(株式会社ディー・エヌ・エー、オートモーティブ事業本部プロダクトマネジメント部 部長)

日本には、渋滞、満員電車などの交通課題があります。とりわけタクシーの課題は、使いたいときに使えないことですが、Movだとタクシーがすぐ来て、確実に出会えます。(行き違いなし)
また、Movには需要創出効果があり、電話配車に比べてタクシー利用者が106%に伸びたという調査結果があります。特に、若い女性の新規利用が増えています。海外ではアプリによる配車が50%以上ですが、日本は1%程度に留まっています。

(株)ディー・エヌ・エーの黒崎氏

若い女性の利用が増えているそうです。

パネルディスカッション

伊藤:MaaSは他の事業者との連携が不可欠ですが、地域の中ではケンカする場合もあるかと思います。何か仲良くする方法はありますか?
細谷:従前、公共交通については、自治体は住民から要望を受けるだけだったが、地域公共交通活性化再生法により、ダイヤやマップなどの改善を事業者間任せから自治体主導でできるようになりました。

左から伊藤氏、黒崎氏、細谷氏

伊藤:IT企業は警戒されたりしませんか?
黒崎:ITは、有効な手段で様々なプレイヤーをつなぐハブです。公共交通業界は歴史が長いので、ドラスティックな転換は難しいのかなと思っていますが、だからこそIT企業が入る意義があると思っています。
伊藤:ディー・エヌ・エーさんは儲かると思って参入しているのですか?
黒崎:なかなか儲けは出ないのですが、長い視点で見たときに、もっと新しくできる分野だと思っています。
伊藤:新しいことをやろうとすると、人・制度等の壁があるかと思いますが、どこが一番壁を感じるのでしょうか?
細谷:壁は行政の中にあります。議員さんなどから「公共交通って必要だよね」と言われながら、予算も人も回ってきません。「これからの社会は、どこに向かっていくのか」という根本の議論ができていません。
黒崎:企業なので収益化が壁ですが、自発的な課題解決チームとして取り組んでいますので、この分野がたとえ儲からなくても、会社全体で儲けが出れば良いと思っています。

グラフィック レコーディングによるまとめ①

グラフィック レコーディングによるまとめ②

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