シンポジウム資料の表紙

シンポジウム資料の表紙

 
11月27日(木)札幌で開催された「地域公共交通シンポジウムin札幌~まちづくりと交通の明日に向けて~」。自治体の方々などを中心に300名近くの方が参加されていたようです。
シンポジウムは、2部構成で、1部は基調講演、2部は地域公共交通活性化再生法などの改正に関する説明が行われました。4回に分けて(予定)で、参加報告を記載します。

シンポジウムのプログラム

シンポジウムのプログラム。結構長丁場デス。

基調講演①「人口減少時代おける地域公共交通の役割」
(北海道大学公共政策大学院小磯修二特任教授)
 北海道は17年前から人口減少が始まっていましたが、長期的な傾向だったので先送りされ続けてきた結果、最近になって表面化してきました。また、今は元気な団塊の世代が10年後には超高齢化(2025年問題)し、それまでの間は元気な高齢者には働いてもらう必要がありますが、いつまでも車の運転が大丈夫とは限らないので、地域の公共交通の役割はこれから増してきます。

 一方、公共交通事業はこの“50年間で激変”しました。輸送人員に関してですが、自家用車では2005年と1955年とで比べると150倍に増えており、バスではピーク時の1970年と比べると1/2以下まで減少しており、もう“事業”としては維持が不可能な状態です。そのため、交通事業者への“赤字補てん”が政策として定着してきましたが、「負のスパイラル」に陥ってしまい、それをどう打破するかが問題です。
 
 交通経済の側面からすれば、利用者が多ければ多いほど輸送コストが下がり、赤字を穴埋めするという政府の関与は不要でした。1987年に分割民営化した国鉄(現:JR)は、分割民営化の「民営化」については既定路線でしたが、「分割」についてはあまり議論がされませんでした。そのため、いわゆる三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)は、経営安定基金(合計1.8兆円)を用意し、その運用益で赤字を補てんする仕組みにしました。

小磯先生のレジュメ。

小磯先生のレジュメ。簡潔明瞭でわかりやすい。

 交通はあくまで手段ですが、移動目的とどう結びつけるかが重要です。宝塚や梅田などに施設を配し沿線開発を行った阪急電鉄創業者である小林一三氏の手法は、後に、東急電鉄、西武電鉄にも波及しました。ヨーロッパでは、人口の割に公共交通の利便性が高いと思われます。フライブルク市(ドイツ)は、人口が22万人位ですが、市営のLRTが7~8分間隔で発着し、バスターミナルのインフォメーションも充実していました。市の財政は厳しく破たん寸前で、公共交通は大赤字。しかし、再生エネルギ-会社で儲けて、その儲けで公共交通の赤字を補てんすることで、良質な生活環境を提供していました。同じくドイツのシュヴァルツヴァルトでは、観光客が公共交通利用する際の運賃は無料です。これは、宿泊費の一部をプールし、交通機関に分配しているのです。

基調講演の様子

基調講演の様子


 2016年春に北海道新幹線が開業しますが、アンケート調査によれば、約2割の人は新幹線で道南・道央だけでなく、道北・道東にも行きたいと考えていることがわかりました。ですから、どのように新幹線効果を全道に波及させるかを真剣に考えねばなりません。
 八戸市は、新青森開業後も延伸効果を維持している数少ないまちの一つです。「八食センター」は、元々あった路線バスを活用して来客数を増やしていますし、八戸駅と八戸市街を結ぶバスは2社で運行されていますが、等間隔運行になるようにダイヤが調整されています。
 このように、移動を交通だけで考えず、どにようにまちをつくっていくのかを全体で考えていくことが重要なのです。
 (文責:松本)

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