(1日目)の続きです。
来賓挨拶が行われた後、大分大学大井尚司先生による基調講演「くらしの足を考えるための勘どころ~「遅延」交通から「地縁」交通への転換のすすめ~」。公共交通に関してめまぐるしく変化してきた制度や取り巻く環境を踏まえ、どうしたらもっと地域のおでかけが良くなるかを論じられました。

大井先生と阿部さんの写真

大井先生(左と阿部さん

(主な内容)
・ニーズの把握はアンケートだけではダメ → 「テマ・ヒマ・オジャマ」が重要。
・ステークホルダーの相互理解は必須だが「選択と集中」が重要。
・地域の「おでかけ」に欠かせないのは、3つの「えん」= 地縁、支援、応援。
・今あるものを大事に使うこと。

など、気迫に満ちたお話をお聞きしました。

西鉄バスの阿部政貴さんからは、同社のコミュニティバスを中心としたお話と、福岡市生活交通支援事業にも触れられた後、大井先生との本音対談が行われました。

ラウンドテーブル③の写真

ラウンドテーブル③の様子


午後からは、今回初の試みというラウンドテーブルが行われ、私・松本は③「交通弱者の外出支援は誰が担うのか」を選択しました。(他の内容は、①「くらしの足を守る人をどう育てるか」、②「デマンド交通の将来を問う」、④「交通事業者の経営はどうする」)

全国子育てタクシー協会の方や福祉有償・無償運送を行っているNPO、行政職員、学識経験者らが一同に会していたので、思わず「一瞬、大丈夫かな」などと心配してしまいしたが、それぞれ厳しい状況の中「地域の足」を必死に守ろうとしている姿がひしひと伝わってきました。

・透析患者の移送では、ドア・トゥ・ドアではなく、ベッド・トゥ・ベッドで、病院内で行う透析前後の着替えまでが移送の範囲なので、待機時間なども考えると採算に合わない
・ユニバーサルデザイン(UD)タクシーは、運賃が高いと思われる。その一方で、UDタクシーの台数が少ないので、専用のりばがあっても乗るのをためらってしまう。
・500人以下の集落は、デマンド交通を導入しても成り立たない。
・本当に移動困っている人は、何が欲しいのか?
・自家用車有償運送の対価が、タクシーの1/2程度はきつい。

登壇者のひとりである大和市職員が発表された、大和市総合交通施策の『移動が楽しいまち・やまと』 は、必読だと思われます。
この表紙は絵の得意な職員が描かれており、コミバスの車体には雑誌「ぴあ」の表紙を描いていた及川正通氏によるイラストが描かれ、親しみやすさに力を入れています。(さすがは、自治基本条例の制定に関して先駆的で有名なまちです)
また、大和市のコミバスは運賃収入が半分と大変優秀なのですが、それでも多額の補助金を投入することについては、「外出促進などにより健康が増進され、医療費を中心とした社会保障費用が減れば、結果的に支出が抑制できるというコンセンサスを市全体で得ている」とのことでした。つまり、交通の部署だけが補助金を負担しないということですね。

各ラウンドテーブルからの報告では、
①複眼的な考えを持つ/考える場をどう作るか/選択と集中
②勘からデータへ/デマンドが目的化している/負担は減っても不採算
④事業者単体では黒字化は難しい/労働組合をパートナーとみる/30年間利用者減で成功体験なし

といったキーワードが出されました。

加藤先生の写真

締めも加藤節で!


とにもかくにも参加者の熱気を非常に強く感じたフォーラムで、2日間の内容がそれぞれの現場に活かされると良いなと思わずにはいられませんでした。

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